アニメ・アーカイブ研究
研究プロジェクト名
アニメ・アーカイブ研究
専任教員名
石田 美紀 人文社会科学系(経済科学部)・教授
概略
2016年4月に発足したアニメ・アーカイブ研究センターは、アニメ演出家渡部英雄氏より管理と保存を一任された1970年代から90年代末までのアニメ中間素材(シナリオ、絵コンテ、各種設定集、原画、セル画)である「渡部コレクション」および、ガイナックス社から委託された劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(監督山賀博之、1987年公開)の中間素材を、アーカイブ化・デジタル化し、整理分析してきました。
これらのアニメ中間素材とそのデジタルデータを研究(国内外のシンポジウム開催及び参加、論文・論集の出版)、教育(実習型講義の開設と運営)、社会貢献(新潟、シンガポール、東京・八王子、スウェーデンにおける『王立宇宙軍』中間素材展開催と協力)の領域において積極的に活用し、国内外の学術界並びにアニメーション業界から高い評価を得ています。
渡部コレクションについて ――アニメ制作の様々な段階と局面
本研究センターの発足のきっかけになった渡部コレクションは、アニメ演出家であり現在は大学においてアニメーション制作を指導している渡部英雄氏から管理と整理を一任されたアニメ中間素材です。渡部氏は『宇宙大帝ゴッドシグマ』(1980)『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』(1982)『夢戦士ウイングマン』(1984)『GIジョー』(1984:日米合作)『11人いる!』(1986)『北斗の拳2』(1987)『機動戦士Zガンダム』(1985) 『機動戦士ZZガンダム』(1986)『銀河英雄伝説』(1991)『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)などの多くの制作現場で中核的スタッフとして活躍してきました。
渡部氏が監督の仕事を研究するために収集してきた中間素材は、氏が制作に関わっていた1970年代から1990年代までのものが多く、第2次及び第3次アニメブームというアニメ史上の重要な時期と重なっており、産業的・美学的側面からのアニメ研究の貴重な手がかりになります。渡部コレクションはキャラクターデザインから絵コンテ、原画、動画、背景画、脚本、アフレコ台本、さらにスタッフによる手書きのメモに至るまでアニメ制作の様々な段階と局面を示しており、海外からの受発注関連素材も多く含まれています。
本研究センターの教育活動について
本研究センターが収蔵するアニメ中間素材は、2016年度より新潟大学の実習型講義に導入されてきました。学生が素材の分析を通して、作品が生み出されるまでのプロセスを実証的に確認することで、モノとしての素材が語るアニメの現場、歴史、スタイル、美学についての知識を主体的に獲得することを狙いとしています。受講生は素材をデジタルデータ化するスキャニング作業に従事しながら、自身の研究の題材を見出し探求していきます。また、渡部氏の特別レクチャーも合わせて開催されます。
アニメ中間素材の教育現場での活用における今後の課題は、学生たちが講義で得た成果をいかに継続させ、発展させていくのかにあります。可能性のある方向としては、本講義を法律や経済、さらには工学や化学など他の領域と接合させていくことが挙げられます。諸領域にまたがるアニメだからこそ、学術的でありつつ、実践的なカリキュラムを整備することによって、アニメ・アーカイブの果たす役割は複合的となり、いっそう重要なものになると期待します。
プロジェクトメンバー
氏名 | 所属・職名 | 専門分野 |
---|---|---|
石田 美紀 | 新潟大学人文社会科学系(経済科学部)・教授 | 視聴覚文化論 |
キム・ジュニアン | 新潟大学人文社会科学系(経済科学部)・准教授 | 表象文化論 |
原田 健一 | 新潟大学人文社会科学系(人文学部)・教授 | 情報社会論 |
今井 博英 | 新潟大学経営戦略本部評価センター・准教授 | 情報通信ネットワーク |
三俣 哲 | 新潟大学自然科学系(工学部)・准教授 | 高分子材料・複合材料工学 |
渡部 英雄 | 桜美林大学・講師 | アニメ演出 |
須川 亜紀子 | 横浜国立大学・教授 | ポピュラー文化研究 |
顔 暁暉 | LASALLE College of the Arts・講師 | アニメーション研究 |
ダリオ・ロッリ | Loughborough University・講師 | メディア研究 |
ジャクリーヌ・ベルント | Stockholm University・教授 | マンガ・アニメ・メディア研究 |
活動報告・お知らせ
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2021年02月25日メディアアニメ石田美紀教授の著書「アニメと声優のメディア史」に関する記事が読売新聞に掲載されました
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2021年02月25日トピックスイベントアニメセンター国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」参加申込&プログラムのお知らせ
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2021年02月15日メディアアニメ石田美紀教授のインタビューが書籍情報サイト「好書好日」に掲載されました
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2021年02月15日メディアアニメ石田美紀教授のインタビューが総合カルチャーサイト「Real Sound」に掲載されました
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2021年01月27日メディアアニメ石田美紀教授の科研費研究紹介記事が「こんな研究をして世界を変えよう」ウェブサイトに掲載されました
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2021年01月26日トピックスイベントアニメセンター国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」参加申込&ラウンドテーブルのお知らせ
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2021年01月05日活動報告アニメ石田美紀教授の著書『アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか』が刊行されました
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2020年12月18日メディアアニメ石田美紀教授、キム・ジュニアン准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が新潟日報に掲載されました
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2020年12月08日トピックスイベントアニメセンター国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」を開催します(3月6、7日)
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2020年10月02日特集アニメ【インタビュー】アーキビストの活動に迫る 鈴木潤
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2020年09月30日特集アニメ【鼎談】未来へつなぐ共同研究「アニメ・アーカイブ」 石田美紀 × キム・ジュニアン × 鈴木潤
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2020年06月29日活動報告アニメ論文集『Archiving Movements: Short Essays on Anime and Visual Media Materials V.2』が刊行されました
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2020年01月30日活動報告トピックスアニメセンター講演会・公開討論会「大衆文化を資源として捉え直す:レコードからアニメへ」を開催しました
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2019年11月25日イベントアニメセンター市民向け講演会・公開討論会「大衆文化を資源として捉え直す:レコードからアニメへ」を開催します
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2019年08月11日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が福井新聞に掲載されました
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2019年08月09日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が東奥日報に掲載されました
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2019年08月06日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が中部経済新聞に掲載されました
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2019年07月30日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が山形新聞に掲載されました
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2019年07月29日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が山陰中央新報に掲載されました
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2019年07月24日活動報告トピックスアニメ展示「にいがたの映画人第1部」企画及び人文学部表現文化論演習(石田ゼミ)による研究発表会を開催しました
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2019年06月20日トピックスアニメセンター対談『物語エンジン』(山賀博之監督×髙橋秀樹環東アジア研究センター長)を開催しました
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2019年03月31日活動報告アニメ論文集『Archiving Movements: Short Essays on Materials of Anime and Visual Media V.1』が刊行されました