北東アジアにおける食糧生産

研究プロジェクト名

北東アジアにおける食糧生産

実績報告

令和4年度 北東アジアにおける食糧生産実績報告書

専任教員名

長谷川 英夫   自然科学系(農学部)・教授

概略

 ロシア極東のアムール州と沿海地方は,ソ連時代の大規模な開発により,政治・軍事の要衝とともに食料生産基地として重要な位置にありました。ソ連崩壊とともに中央政府からの支援が激減し,農業・工業生産が大幅に減少するなかで経済不振が深まり,人口の社会減が急速に進行しました。現在,地政学的・社会経済的な面から,極東地域の再開発はロシア連邦政府の最優先課題です。

 ロシア極東は地理的にも日本に近く,わが国の食料安全保障に潜在的な能力を有しています。ロシア大豆は気候や病害虫に対する品種適性,栽培方法,収穫後処理,物流および港湾設備などの点でアメリカ,カナダおよび中国といった代表的な輸入大豆の水準に及ばない現状があります。その水準を高めてロシア極東の輸出基地化を図ることは,ロシア連邦政府の喫緊の課題でもあります。

 プロジェクトリーダーは2014年から農林水産省の支援を得て,日本の実需者が求める遺伝子組換えでない食用大豆の調達先多様化・リスク分散と収量・品質の向上を目的として,ロシア大豆を供試したロシア方式,日本方式および深層施肥方式を比較する試験栽培をロシア沿海地方で主導してきました。ソ連邦時代から現在に至るまで大豆の育種目標は搾油用途であったため,低蛋白質・高脂質含量の品種が大勢を占めていましたが,いくつかの品種には豆腐,味噌への加工適性が認められました。

 本プロジェクトでは,1)大豆病害の発生調査と抵抗性の探索,2)ロシア大豆における炭素・窒素の集積調節機構の解明,3)大規模圃場に対応した高速深層施肥播種機の開発を目的として,ロシア極東の研究機関と国際共同研究パイロット事業を実施しています。

大豆播種前作業のようす


ロシア極東沿海地方における大豆播種前作業のようす

 


ロシア極東アムール州における大豆播種作業のようす

プロジェクトメンバー

氏名 所属/職名等 専門分野 備考
長谷川 英夫 新潟大学・自然科学系・農学部/教授 農業環境工学・
農業情報工学
リーダー
大竹 憲邦 新潟大学・自然科学系・農学部/教授 土壌肥料学  
佐野 義孝 新潟大学・自然科学系・農学部/准教授 植物病理学  
湊 菜未 新潟大学・自然科学系・農学部/助教(卓越研究員) 植物病理学  
リューデ アンナ 新潟大学・自然科学系・農学部/特任助教 経済学 コーディネーター
フィセンコ ピョートル ロシア科学アカデミー極東支部アグロバイオテクノロジー連邦科学センター A. K. Chaika/農作物育種・遺伝学研究室長代理/主任研究員 育種学・植物病理学  
ボロディン イーゴリ アレキサンドロビッチ 沿海地方国立農業アカデミー工業技術学部/副学部長/准教授 機械工学  
ボロディン イーゴリ イーゴリビッチ 沿海地方国立農業アカデミー工業技術学部/学科主任代行/准教授 機械工学  

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