- 研究活動トップ
- 中小企業ナレッジネットワーク
- モンゴル考古学
- アニメ・アーカイブ研究
- 北東アジアにおける食糧生産
- シベリア先住民諸語の記述的・類型論的研究
- 老いを支える文化:地域間比較と国際比較
- 原子力に関する国境を越えた住民参加システムの構築に向けた国際共同研究
- アジア地域の山岳研究プロジェクト
- 東アジアにおける都市化問題
- 地方自治体と連携した少子化対策プラットフォーム構築
- アジア山岳環境研究プロジェクト―山岳研究拠点形成を目指して―
- 少子化時代の「希望の妊娠」実現プロジェクト―スリランカ-日本のプレコン(妊娠前の健康促進)実態の比較研究から―
- 日本とインドネシアの学び合いによる地域づくりと住民エンパワメント-食育と歯・口腔の健康を融合したカミング(噛みんぐ)プロジェクトを通じて-
アニメ・アーカイブ研究
研究プロジェクト名
アニメ・アーカイブ研究
実績報告
専任教員名
キム・ジュニアン 人文社会科学系(経済科学部)・准教授
概略
アニメ‧アーカイブ研究プロジェクトは、2016 年にアニメ演出家の渡部英雄氏より、1970年代から1990年代末までのアニメの制作現場で作成・使用されたアニメ中間素材(絵コンテ、脚本、各種設定資料、原画、セル画など)が本学に一任されたことをきっかけとして始まりました。この中間素材は、現在「渡部コレクション」と呼ばれています。同じ年には、さらに同年、ガイナックス社(当時)から長編アニメーション映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(監督山賀博之、1987年公開)の中間素材も委託され、同社の協力のもとで、その中間素材をデジタル化したデータを活用し展覧会を国内・海外で複数回開催しました。
2017年度には科研費研究課題「渡部コレクションに基づくアニメ制作過程の実態研究」(基盤研究C課題番号17K02356)、2020年度には科研費研究課題「アニメ中間素材」の分析・保存・活用モデルケースの学際的研究」(基盤研究B課題番号20H01218)が採択されたことで、アニメ中間素材のアーカイブ化・デジタル化はより一層進展しました。特に、画像データとメタデータを同時に閲覧できるオンラインデータベースシステム(研究者限定)が完成し、今現在デジタル・アーカイブとして機能しています。なお、著作権侵害にならないよう画像データを省いたオンラインデータベース(http://acasin-db.jp/)も一般向けに公開しています。文系のみならず理系の研究方法も積極的に取り入れることで、デジタル・アーカイブの構築だけでなく、セル画の修復に関する材料工学的な研究も進め、多くの研究成果をあげています。
アニメ・アーカイブ研究プロジェクトは、2025年度から新しいフェーズへ進み始めました。整理番号基準で4000点に及び、さらにTVアニメ1話分の絵コンテだけでも100ページを超える量的な膨大さ、そして作成時期が半世紀にまたがる時間的長さゆえに、アニメ中間素材の網羅的な調査・研究は容易なことではありません。このような課題に対応するため、本研究プロジェクトはデジタル・ヒューマニティーズ的研究方法への接続を進めています。個々の研究者が扱いうる範囲をはるかに越える時空間的に巨大なスケールの文化資源をデータ化し、デジタル技術を用いることで、人文社会学的に有意義なパターンや傾向などを明らかにしようとする試みです。そのため中間素材画像データの内容が識別、抽出できるAIアプリを開発し、研究教育機関やアニメ業界など社会の諸場面におけるデジタル・アーカイブ構築にも貢献することを目指します。
渡部コレクションについて ――アニメ制作の様々な段階と局面
本研究プロジェクトの発足のきっかけになった渡部コレクションは、1974年頃から1990年代半ばまでアニメ制作現場で撮影、制作進行、演出助手、絵コンテ、演出、原画などの仕事に携った渡部英雄氏が演出術の研究のために現役の時代から収集、保存していたアニメ中間素材です。渡部氏は『宇宙大帝ゴッドシグマ』(1980)、『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』(1982)、『夢戦士ウイングマン』(1984)、『GIジョー』(1984:日米合作)、『11人いる!』(1986)、『北斗の拳2』(1987)、『機動戦士Zガンダム』1985)、『機動戦士ZZガンダム』(1986)、『銀河英雄伝説』(1991)、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)などの多くの制作現場で中核的スタッフとして活躍しました。
渡部氏が収集したアニメの中間素材は、氏が制作に関わっていた1970年代から1990年代までのものが多く、第2次及び第3次アニメブームというアニメ史上の重要な時期と重なっており、産業的‧文化的・美学的側面からのアニメ研究の貴重な手がかりになります。渡部コレクションはキャラクター設定から絵コンテ、脚本、原画、動画、背景画、アフレコ台本、さらにスタッフによる手書きのメモに至るまでアニメ制作の様々な段階と局面を示しており、海外からの受発注関連素材も多く含まれています。現在、639点の絵コンテ、252点の脚本、463点のキャラクター設定、612点の原画、260点のセル画がアーカイブ化されています。
本研究プロジェクトの教育活動について
本研究センターが収蔵するアニメ中間素材は、2016年度より新潟大学の実習型講義に導入されてきました。学生が素材の分析を通して、作品が生み出されるまでのプロセスを実証的に確認することで、モノとしての素材が語るアニメの現場、歴史、スタイル、美学についての知識を主体的に獲得することを狙いとしています。受講生は素材をデジタルデータ化するスキャニング作業に従事しながら、自身の研究の題材を見出し探求していきます。また、渡部氏の特別レクチャーも合わせて開催されます。
2026年度からは大学院の博士前期課程にアニメ・映像資源科学プログラムが始まることで、アニメ中間素材は教育現場でより一層本格的に活用されることになりました。同プログラムでは、画像情報工学や材料工学、法律など他の分野を組み合わせ、アニメ中間素材という映像資源の活用に際して浮上する複雑な課題を多角的に検討、研究していきます。そうすることで、アニメ‧アーカイブの果たす役割は複合的となり、より一層重要なものになると期待します。
プロジェクトメンバー
氏名 | 所属・職名 | 専門分野 |
---|---|---|
キム・ジュニアン | 新潟大学人文社会科学系(経済科学部)・准教授 | 表象文化論 |
今井 博英 |
新潟大学DX推進機構 情報基盤センター/経営戦略本部評価センター‧准教授 |
情報通信ネットワーク |
五島 一浩 | メディア・アーティスト | |
布山 タルト | 東京藝術大学大学院・教授 | アニメーション教育研究 |
三俣 哲 | 新潟大学自然科学系(工学部)・准教授 | 高分子材料・複合材料工学 |
村松 正吾 | 新潟大学自然科学系(工学部)‧教授 | 画像情報工学 |
渡部 英雄 | 開志専門職大学‧教授 | アニメ演出 |
須川 亜紀子 | 横浜国立大学‧教授 | ポピュラー文化研究 |
木村 智哉 | 開志専門職大学・准教授 | アニメ‧映画史研究 |
ダリオ‧ロッリ | Durham University‧ 助教授 | メディア研究 |
ジャクリーヌ‧ベルント | Stockholm University‧ 教授 | マンガ‧メディア研究 |
活動報告・お知らせ
-
2025年05月19日活動報告トピックス中小企業少子化対策プレコンモンゴルアニメロシア極東プロシベリア言語都市化令和6年度 プロジェクト実績報告
-
2025年05月09日トピックスイベントアニメ2025年 5月15日(木)「学際アニメ研究会」開催のお知らせ
-
2024年09月20日トピックスイベントアニメアニメ・アーカイブ研究が9月26日(木)に研究会を開催いたします
-
2023年11月27日トピックスアニメセンター*2023年10月23日 新潟大学は、新潟市、開志専門職大学と、マンガ・アニメに関する連携協定を締結いたしました
-
2023年09月25日トピックスアニメセンター*アジア連携研究センターは、シンガポール、LASALLE College of the Artsと部局間交流協定を締結いたしました
-
2023年07月26日活動報告トピックス中小企業少子化対策プレコン食育と口腔山岳研究2モンゴルアニメロシア極東プロシベリア言語都市化令和5年度 プロジェクト実績報告
-
2023年07月20日活動報告トピックスアニメ令和5年度文化芸術振興費補助金メディア芸術アーカイブ推進支援事業に採択されました
-
2023年03月10日トピックスイベントアニメセンター*アニメ・アーカイブ研究チームは、 新潟国際アニメーション映画祭の関連企画として、アニメ中間素材展「TVアニメの透視模型(パースペクティブ)」を開催いたします。
-
2023年02月27日活動報告トピックスアニメ石田美紀教授が文化庁のメディア芸術情報サイトmaccに掲載されている トークセッション「大学でメディア芸術作品をアーカイブする意義――学外の連携と分野横断に向けて」 に出演いたしました
-
2023年02月02日活動報告トピックスアニメ新潟大学アニメ中間素材データベースACASIN-DB(テキスト版)公開のお知らせ
-
2023年01月13日活動報告トピックスアニメ『ジブリ・アニメーションの文化学』が刊行されました
-
2023年01月13日活動報告トピックスアニメ『グローバル・アニメ論 身体/アーカイブ/トランスナショナル』が刊行されました
-
2022年09月08日トピックスイベントアニメセンター*アニメ・アーカイブ研究センターは展覧会「原画から見る1980年代TVアニメ」(新潟大学旭町学術資料展示館、2022年9月7日(水)〜11月4日(金)、入場無料)に関連しての講演会の申し込み締め切りを延長いたします
-
2022年08月25日トピックスイベントアニメセンター*【新着情報】アニメ・アーカイブ研究センターは展覧会「原画から見る1980年代TVアニメ」(新潟大学旭町学術資料展示館)を開催いたします
-
2022年07月29日活動報告トピックスアニメセンター*6月4日に開催されましたRIVNAシンポジウム「アニメ中間素材アーカイブの現状と課題」の録画視聴の 申し込みが始まりました
-
2022年07月14日トピックスイベントアニメセンター*アニメ・アーカイブ研究センターは展覧会「原画から見る1980年代TVアニメ」(新潟大学旭町学術資料展示館、2022年9月7日(水)〜11月4日(金)、入場無料)に関連して、講演会と研究報告会を開催いたします
-
2022年07月14日トピックスイベントアニメセンター*アニメ・アーカイブ研究センターは展覧会「原画から見る1980年代TVアニメ」(新潟大学旭町学術資料展示館)を開催いたします
-
2022年05月27日トピックスイベントアニメセンター*石田美紀教授が<開志専門職大学 アニメ・マンガ学部主催>新潟視覚芸術研究所「RIVNA」開設に伴うKick offシンポジウムにスピーカーとして登壇します
-
2022年02月17日トピックスイベントアニメセンター*マイクロ・シンポジウム「アニメ中間素材が引き起こす新たな創造」を開催します
-
2022年02月04日活動報告アニメ『戦争と日本アニメ 『桃太郎 海の神兵』とは何だったのか』にキム・ジュニアン准教授が寄稿しました
-
2021年12月16日活動報告アニメ論集『Anime Studies: Media-Specific Approaches to Neon Genesis Evangelion』に石田美紀教授が寄稿しました
-
2021年12月06日メディアアニメ石田美紀教授が第24回文化庁メディア芸術祭のトークセッションに出演しました
-
2021年10月19日特集アニメ【インタビュー】映画研究からアニメ研究の世界へ 石田美紀
-
2021年10月15日メディアアニメ石田美紀教授のコメントが新潟日報おとなプラスに掲載されました
-
2021年09月07日メディアアニメ石田美紀教授、キム・ジュニアン准教授の取材協力記事が新潟の地域文化ポータルサイト「新潟文化物語」に掲載されました
-
2021年08月26日メディアアニメ石田美紀教授のインタビューがIT系ニュースサイト「ASCII.jp」に掲載されました
-
2021年08月12日トピックスアニメ石田美紀教授が「富野由悠季監督トークショー」に聞き手として登壇します【開催中止】
-
2021年06月15日メディアアニメ石田美紀教授がTBSラジオ「アフター6ジャンクション」に出演します
-
2021年06月10日メディアアニメ石田美紀教授のインタビュー記事が各紙に掲載されました
-
2021年06月07日トピックスメディアアニメ石田美紀教授がカルチャーサイト「ゲンロンカフェ」のトークイベントに出演します
-
2021年03月05日メディアアニメ石田美紀教授の著書「アニメと声優のメディア史」の書評が各紙に掲載されました
-
2021年02月25日メディアアニメ石田美紀教授の著書「アニメと声優のメディア史」に関する記事が読売新聞に掲載されました
-
2021年02月25日トピックスイベントアニメセンター*国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」参加申込&プログラムのお知らせ
-
2021年02月15日メディアアニメ石田美紀教授のインタビューが書籍情報サイト「好書好日」に掲載されました
-
2021年02月15日メディアアニメ石田美紀教授のインタビューが総合カルチャーサイト「Real Sound」に掲載されました
-
2021年01月27日メディアアニメ石田美紀教授の科研費研究紹介記事が「こんな研究をして世界を変えよう」ウェブサイトに掲載されました
-
2021年01月26日トピックスイベントアニメセンター*国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」参加申込&ラウンドテーブルのお知らせ
-
2021年01月05日活動報告アニメ石田美紀教授の著書『アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか』が刊行されました
-
2020年12月18日メディアアニメ石田美紀教授、キム・ジュニアン准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が新潟日報に掲載されました
-
2020年12月08日トピックスイベントアニメセンター*国際会議「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ Beyond Theorizing Anime: Voices and Archiving」を開催します
-
2020年10月02日特集アニメ【インタビュー】アーキビストの活動に迫る 鈴木潤
-
2020年09月30日特集アニメ【鼎談】未来へつなぐ共同研究「アニメ・アーカイブ」 石田美紀 × キム・ジュニアン × 鈴木潤
-
2020年06月29日活動報告アニメ論文集『Archiving Movements: Short Essays on Anime and Visual Media Materials V.2』が刊行されました
-
2020年01月30日活動報告トピックスアニメセンター*講演会・公開討論会「大衆文化を資源として捉え直す:レコードからアニメへ」を開催しました
-
2019年11月25日イベントアニメセンター*市民向け講演会・公開討論会「大衆文化を資源として捉え直す:レコードからアニメへ」を開催します
-
2019年08月11日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が福井新聞に掲載されました
-
2019年08月09日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が東奥日報に掲載されました
-
2019年08月06日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が中部経済新聞に掲載されました
-
2019年07月30日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が山形新聞に掲載されました
-
2019年07月29日メディアアニメ石田美紀准教授のアニメ・アーカイブ研究に関する記事が山陰中央新報に掲載されました
-
2019年07月24日活動報告トピックスアニメ展示「にいがたの映画人第1部」企画及び人文学部表現文化論演習(石田ゼミ)による研究発表会を開催しました
-
2019年06月20日トピックスアニメセンター*対談『物語エンジン』(山賀博之監督×髙橋秀樹環東アジア研究センター長)を開催しました
-
2019年03月31日活動報告アニメ論文集『Archiving Movements: Short Essays on Materials of Anime and Visual Media V.1』が刊行されました