【インタビュー】考古学との出会いから現在まで 白石典之

2021年01月28日
特集 モンゴル

写真:白石先生

現在、モンゴル考古学の研究に取り組まれている白石典之先生は、どのようなきっかけで考古学に興味を持ち、考古学の世界に入られたのか。また、新潟大学に来られた経緯や、新型コロナウイルス感染拡大による研究への影響をインタビューした。

畑で拾った土器がきっかけで考古学の世界に

――先生が考古学に興味を持たれた時期やきっかけを教えてください。

白石 小学校4年生の時、友達のおばあさんの畑から縄文土器が出るというので行ってみると、文様のある土器片や黒曜石の欠片を拾うことができ、これは面白いなと思いました。それから自分で遺跡のある場所を調べて、休日ごとに採集に出かけました。気がついた時には、考古学の沼にはまっていました。

――では、その時から考古学を学びたいと思い続けていたのですか。

白石 そうですね。そのくらいの時から、将来の夢は考古学者になることだと周りに言っていたみたいです。考古学には理系の知識も必要なので、高校では数学、地学、生物を一生懸命勉強していました。実際それらは今の研究に活かされています。
高校2年生の時に、たまたま旧石器時代の遺跡を見つけて、それが話題になりました。研究者から興味を持ってもらえたことがうれしくて、大学では旧石器の研究をしようと思いました。どの大学が良いか調べていたところ、筑波大学の加藤晋平教授が書いたシベリアの旧石器の論文に出会いました。それを読んで「こんな分野があるんだ、どのように研究しているのだろう」と興味を持ち、迷わず筑波大学に進学しました。そして加藤先生から多くを学びました。シベリアや中国の調査旅行に何度も同行させてもらいました。モンゴルに最初に連れて行ってくれたのも加藤先生です。

モンゴルがきっかけで新潟に

――どのような経緯で大学教員になられたのですか。他の選択肢はありましたか。

白石 研究者になりたいとは思っていました。大学に限らず、博物館に勤めたり、行政の調査機関で発掘したりすることも考えていました。ですから教員免許や学芸員資格を取りました。大学に残って研究を続けたいと考えたのは、大学院の博士課程に進んでからです。

――どのような経緯で新潟大学に来られたのですか。

白石 私は1994年に新潟に赴任しました。そのころ新潟では官民を挙げて「環日本海構想」を打ち出していました。これは新潟が中心となって、韓国、ロシア沿海州、中国東北部をつなぎ、互いの経済と文化の交流を活性化させようという取り組みでした。新潟大学もそれに参加していて、この地域を専門にしている研究者を採用しようとなった時、モンゴル考古学なんて変わっていて面白そうだということで、運よく声を掛けていただきました。

夏の新潟は20年ぶりでした

――先生は研究のほかに何をして過ごすことが多いですか。趣味などはありますか。

白石 趣味はランニングです。だいたい一日おきに10キロ走っています。マラソン大会にもよく参加します。それ以外は論文や本を書いています。

――先生は毎年モンゴルへ行かれていますが、生活の上でモンゴルと日本の大きな違いは何ですか。

白石 一番の違いは食生活でしょう。肉食中心です。一日に300g以上は食べます。基本的に羊肉です。日本人は脂の少ない赤身を好みますが、モンゴルの人は脂身を好みます。そのため料理全般がこってりとしています。最初は苦手でしたが、今では慣れて、脂の多い料理が恋しくなります。日本にいる時も脂身を好んで食べます。脂を取りすぎているから、いつも走っているのかもしれませんね。

――今回の新型コロナウイルス感染拡大によってモンゴルへ行けなかったことで、何か例年との違いはありましたか。

白石 例年ですと、一年に2~3カ月間はモンゴルに滞在しています。とくに夏はモンゴルで過ごしてきました。夏の新潟を20年ぶりくらいに経験したので、なんだか新鮮な感じがしました。
考古学の作業は発掘だけではありません。出土した資料を図化したり、論文を書いたりといった整理作業も重要です。しかし、帰国すると講義や事務仕事に忙殺されてしまい、未整理の資料が十数年分も溜まっていました。今年はそれらの整理をすることができ、それなりに意義ある時間を過ごせたと思っています。

プロフィール

写真:白石 典之白石 典之(しらいし・のりゆき)

新潟大学環東アジア研究センター長、人文社会科学系(人文学部)教授。博士(文学)。
1963年群馬県生まれ。筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程単位取得退学。1994年に新潟大学人文学部助手として着任。1997年から2年間モンゴル科学アカデミー歴史研究所に留学。2003年に第1回「最優秀若手モンゴル学研究者」としてモンゴル国大統領表彰、2014年には第67回新潟日報文化賞を受ける。著書に『チンギス・カン-蒼き狼の実像-』(中公新書)、『モンゴル帝国誕生-チンギス・カンの都を掘る-』(講談社選書メチエ)など。

取材日:2020年11月16日
取材・文/人文学部 宮島 龍志

 

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